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大阪府議会令和6年(2024年)9月定例会における民主ネット大阪府議会議員団採決態度について

2024年11月5日民主ネット大阪府議会議員団 

代 表 野々上 愛

幹事長 山田けんた

 

 

 

 

大阪府議会令和6年(2024年)9月定例会における

民主ネット大阪府議会議員団採決態度について

 

 

 令和6年(2024年)9月定例会の諸議案に対する主だった採決態度、並びにその理由について以下に説明する。本来であれば、これらの主張は本会議の討論等を通じて行われるべきであるが、今期も少数会派からの要望に応えず、討論の機会が確保されないことは大変残念である。議会改革ナンバーワンを標榜する大阪府議会であろうとするのであれば、議会の本分である多様な意見を議論できる場を確保されたい。

 

 

【反対】議案1号 令和6年(2024年)度大阪府一般会計補正予算(第2号)の件


 今議会に提案された補正予算62億4200万円のうち、59億2352万8千円が医師の勤務環境改善支援のため、地域医療介護総合確保基金へ積み立てられるものである。医師の勤務環境改善、地域の医療人材の確保は重要な課題であり、適切な執行が望まれる。

 一方、残余の予算はその多くが万博関連予算である。博覧会協会が主導する会場建設費の複数回にわたる予算上振れは大きな問題となり、府議会でも厳しい批判の声が党派を問わず上がったが、大阪府独自の万博関連予算も同様の状況であることは、今一度広く府民に伝え、その是非についての意見に真摯に耳を傾ける必要がある。特に、5024万7千円が計上された児童生徒の万博招待事業については、昨年の計画時に14億円であった債務負担行為の上限が16億円へと上振れしており、大きな問題である。

 


 

【賛成】議案第13号 動産買い入れの件(災害用組立式水洗機能付きトイレ)

 

 災害時避難所で使用する組立式水洗機能付きのトイレを買い入れる議案である。大阪府及び、府内市町村により合意された「大規模災害時における救援物資に関する今後の備蓄方針について」に基づく動産買い入れであるが、そのプロセスには疑問が残る。

まず、本件入札は電子入札にて行われたものであるが、入札した3者から全て事前に参考見積書を提出させており、他に入札者もいない。落札率は99%と極めて高い。

 本件は、大阪府内全2300か所の避難所に配備するため、2300基の簡易トイレの備蓄を見据え、今回500基(約1億6千万円)を購入するものであるが、2300か所で同時に本トイレが必要になるケースがあるとは想像しにくい。また、製品仕様では、し尿を液体と固体に分離して液体のみを外部に放流する固液分離とすることが要件とされているが、その処分方法については、各避難所での運用方法が確立されていない。そのため、府の備蓄方針では、簡易トイレを府と市町村で1:1で確保するとしており、府は今後洋式水洗機能付きトイレについて、市町村が準備する製品は「衛生的に使用できる性能のトイレも選択可能とする」とされている。実際、府が準備するトイレと異なるものを用意する市町村もあると聞く。

本来であれば、避難所運営を行う地域の自主防災会や地元市町村が必要とする物資を準備するべきであり、丁寧な備蓄物資の検討を求めたい。

 


【反対】第1号報告 府警察職員の職務上の行為に係る損害賠償請求事件の控訴の専決処分の件


 本件は、職場勤務中の男性警察官(被告)の言動が、女性警察官(原告)に対して「社会的相当性を欠くセクハラ行為に該当し、違法性が認められる」とされ、かつ、「職務の執行に密接に関連する行為」として国賠法に基づき、大阪府が原告に対して損害賠償責任を負うとした大阪地裁判決を不服として、控訴する事案である。

 本控訴理由の一つとして、セクハラ発言について「違法性が無い」と府は主張する。しかし、本件は、2020年2月に女性警察官である原告が幹事となり開催した会食において、同職場の係長である被告男性が原告の人差し指をくわえたこと(第1行為)について、同年6月に、原告女性が聞こえる状況で、職場内勤務時間中に、被告男性が他の男性警察官と第1行為を想起させる会話を行ったことは、セクハラ発言であることを逃れられず、精神的苦痛を容易に想像できる。

本セクハラ発言が賠償責任を問われるべきものではないとする大阪府警察のセクハラに関する姿勢は看過することはできず、本控訴理由を含む控訴について容認できない。

 


 

【反対】意見書第2号 2025年日本国際博覧会・日本館において、北朝鮮による日本人拉致問題に関するブース設置を求める意見書

 

 言うまでもなく、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)による拉致問題は、重大な人権侵害であり、他の深刻な人権問題同様、国際社会が最優先で取り組むべき課題の一つである。日本政府が、実態調査のみならず、広く内外にこの問題を周知し、支援の輪を喚起する努力を行うべきであり、地方自治体も大いに協力すべきである。

 しかし、今回の意見書は以下の点から賛成し難いものである。

一つに、万博という場所が問題を訴える場所として適正かということである。世界のほとんどの国々が、近隣諸国と何らかのトラブルを抱えており、そのうちの幾つかは武力紛争にまで至っている。しかし、五輪や万博という場では、通常はそういった問題についてのアピールを(少なくとも直接的には)避ける、というのが一般的である。間接的な言及を意図していても、国際的に認められた人権原則や平和学の理論に則り、「我々はこのようにして人権を尊重し、平和を回復するに至った」というようなケーススタディとして示す必要があるのであり、当事国がある問題を、相手を名指しするようなやり方で告発する形式の展示は、「国際博覧会」という手法にふさわしいとは言い難く、場合によってはそれ自体が紛争を誘発するかもしれないことを考える必要がある。

 二つに、SDGsは特定個人の権利や犯罪事例について扱う趣旨のものではなく、社会制度を持続可能で公平なものにしていく、というものである。つまり、ある犯罪行為を追求するといったことはSDGsの役割ではなく、一方で犯罪者にも弁護士つきで裁判を受ける権利を保障すべきだ、というようなことがSDGsで論じられるべきことである。未解決犯罪事件をすべて列挙するというのでもなければ、特定の事件についてSDGsの名前を利用してアピールすることは、拉致問題とSDGsの双方について誤解を生じさせるので、慎むべきである。

 最後に、この意見書は、政務調査委員会を通じた会派間調整のプロセスを経ず、維新、公明、自民会派により唐突に提案されたものである。課題解決のデュープロセスも、民主制においては重要なテーマである。

 

 

以上

 

大阪府議会 民主ネット大阪府議会議員団

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