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  • 執筆者の写真nonoueai

NHK統一地方選挙2023府県議選ボートマッチについて その1

大阪府議会議員選挙に際して、 NHKがボートマッチを実施するということで、アンケートにお答えしました。


 地方自治選挙は有権者の関心も高いとはいえず、特に府議会は、身近な問題を扱う市町村議会と、ニュースになるような課題を扱う国政との間で、論点も曖昧になりがちです。しかし、広域の防災問題、気候変動や生物多様性といった喫緊の課題やさまざまな生活インフラの基礎自治体間の調整、そして感染症対策のための保健・医療体制など、都道府県が課題とすべき重要な問題は、生活の中に溢れています。

 そういった状況の中で、NHKがボートマッチを実施する、有権者の皆様にわかりやすく争点を伝えられるという意味で大変嬉しいことです。国会や知事だけでなく、地方議会選挙にも対象を広げたことは、極めて画期的なことだと思いますので、是非今後とも続けていっていただきたいと思います。

 しかし、一方で質問の切り口がありがちな、紋切り型のものになっており、有権者が得る情報としては不十分であり、また候補者としては答えにくいということも指摘せざるを得ません。ここで、特に問2や問19で問われているのは、吉村知事と府政与党である大阪維新の会が「争点」として強調してきたものばかりですが、それが本当に府民にとって重要な課題であるかは疑問があります。例えば、すでに二度も投票を行った所謂「都構想」やカジノ・万博について、また議員の定数や報酬削減については詳細を問う質問が繰り返しされているのに対して、環境問題に関する設問は一問もありませんし、争点の選択肢にすらも入っていません。野々上は、例えば議会で森林環境税の使途が本来の目的に合致していないのではないかということを追求してきましたが、そういった論点がマスメディアの視野にも入っていないことには危惧の念を覚えざるを得ません。

 同様に「行財政改革」や「まちづくり」は選択肢の中で選べるだけですが、改革が必要ではないなどという候補者はおそらくおらず、その内容が問題だということになります。例えば行財政改革はしばしば「緊縮財政とそのための公共サービスの削減」のソフトな言い換えになっています。「まちづくり」も本来は、地域が協働して問題解決にあたれる能力(専門用語では「ソーシャル・キャピタル」ないし人間関係資本と呼ばれるような)の涵養とおいう意味合いで使われていた言葉ですが、最近は評判の悪い箱物設置のソフトな言い換えになりつつあることを危惧しています。本来は、課題として「行財政改革」や「まちづくり」を選んだ後に、それが本当に住民福祉に叶うかどうか、具体策を検証するのが選挙戦であるべきだと思います。

 その意味では、カジノ・万博や議席・議員報酬の問題に複数の設問を割り振るのではなく、環境問題、選択的夫婦別姓、同性婚や市民パートナーシップ制度のあり方、官製ワーキングプアや非正規の問題、学校現場が抱える教員不足、さまざまなハラスメントの問題といった、市民が生活の中で直面する問題にも設問を割り振っていただきたかったと思います。また「行財政改革」や「まちづくり」で済ませてしまうのではなく、その方向性を問う設問があるべきだと思いますし、それができないのであれば、自由解答欄を設けていただければと思います。

 そういったことを考えまして、できれば個別の問題についてなぜ私がそう回答したのか、説明を公開しておきたいと思います。今回は、「回答しない」とした2つの設問についての説明を公開させていただきます。


Q11  大阪都構想について                    

 所謂「都構想」については、すでに2回の住民投票が実施されており、民意は決しています。一部政治家の都合のいい結果が出るまで何度でもやる、というのは住民投票の正しい使い方ではありません。

 一方、「大阪市内の行政区の再編」については、基本的には市の自治に関わる問題であり、大阪府議会が先に議論するべきことではありません。もちろん、市の方針が決定され、それに対して府の制度も改変が必だ、ということになるのであれば、それは府と市で協議を行い、具体的な内容について府議会でも議論が行われる、という手順になります。

 「大阪府・大阪市のあり方は今のままで良い」かについては、議論の余地があります。行政の地域や管轄の境界というのはある程度恣意的にならざるを得ず、また数百万の人口を抱える政令市において、現実問題としても住民の意識としても「自治」が困難になるというのも事実でしょう。そういう意味では「都構想」といいますが、東京都と23区の関係にも問題がないわけではありません。しかし、ガラガラポンで新しくしてしまえば問題が解決するというわけではなく、水道やごみ収集の意思決定や経費負担、「区長」の選び方といった個別の問題について、様々な議論を重ねながら、一つ一つ適正な回答を探していき、ダメならまた調整してみる、ということしかないように思います。

 「こうすれば簡単に全ては解決します。しないのは既得権益を持った誰かが邪魔しているからです」といった説明は小気味よく聞こえますが、多くの場合は単なる陰謀論の域を出ません。



Q14 議員報酬について                      


 近年、議員を含めた公務員の給与を引き下げることが流行りのようになっています。しかし、一種の人気取りのために、確固たる方針もなく、また報酬等審議会に諮るなど定められた手続きも経ず、競争のように下げることには反対です。

 第一に、給料はインフレとともに上昇していくことを促すというのが、経済政策としては適正です。特に、世界的に急速なインフレが続いている現在では、給料だけ上がらないのであれば、市民生活は悪化する一方になってしまいます。もちろん、現在の給与水準や上昇速度に、民間や非正規との間にギャップが見られるということはありますが、その場合も民間企業や非正規が給料を上げる方向で調整するように促されるべきであり、高い方が下げるのであれば経済が衰退する一方になります。

 府が行うべきは、民間給与が上がるようなインセンティヴが働く政策をうつことであり、また「官製ワーキングプア」を生み出している会計年度雇用などの非正規雇用に対して、時給換算で正規雇用と同等以上の給料を支払うなど、底上げをする形で格差を是正することです。議員や管理職の給料を若干下げたところで、府の財政に対するインパクトはほとんどない一方で、「給料は上がらないものである」というデフレマインドへの波及効果は極めて深刻なものになるでしょう。

 第二に、議員の給料については、議員活動に何が求められているのか、という点からの精査が必要であり、そういった議論が全くなしに「低い方が良い」というだけでは、議員活動に支障が出かねません。

 地方議員の活動に何が含まれるかは、その国や地域の法的、歴史的、社会的な事情を色濃く反映します。日本においては事務所を構えて、フルタイムで議員が活動することが前提となっています。国によっては、例えば議会は「通年で毎週金曜日」というような開催形式を取る国もあります。また、政策提案も議員が直接担うのではなく、シンクタンクやNPOといった形で議会外部に活発な活動があるような国であれば、議員の活動や経済的な負担は小さくなります。

 議員の生活費としては高すぎだが、適切な議員活動のための予算はそれなりに必要である、というふうに判断されるのであれば、給与を減額する一方で、政務調査費の額と使途を拡充するなり、会派で政策調査のためのスタッフを雇用できるようにするといったことも考えられるでしょう。

 議員活動において、どのような経費がかかっており、またどのような作業を議員が担うべきかという議論抜きに、金額だけでの議論で安易に議員給与を上げ下げすべきではありません。

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