2020年12月21日
民主ネット大阪府議会議員団
代 表 野々上 愛
幹事長 山田けんた
大阪府議会令和2年度(2020年度)9月定例会、12月21日採決分における、
民主ネット大阪府議会議員団採決態度について
大阪は、現在新型コロナウイルス感染症の流行第3波の真っ只中である。今議会に提案された補正予算は、いずれも大阪市内の飲食店に対する休業・時短営業支援にまつわるものであるが、果たしてこれだけで十分なのか。広域行政として実施すべきは、医療体制の確保である。全国からの応援を受けようやく稼働し始めた大阪コロナ重症センターの安定的な運営体制確保を始め、府内の診療・検査体制の拡充や、新型コロナにより影響を受けたあらゆる層への支援を検討すべきである。
また、本議会開会中の11月1日には大阪市廃止分割を問う住民投票が実施され、結果、大阪市民のみなさんの賢明な判断により否決された。住民の声は、都構想よりコロナ対策を、である。大阪府は、特に大阪市域を中心に新型コロナウイルスの流行状況が深刻で、また重症者、死亡者も全国ワーストである。
大阪府が今なすべきは新型コロナウイルス感染症の広がりを抑え、確実な医療体制を整え、困窮する府民生活を支援することである。そう言った観点からは、今回の議会に提案された予算だけでは不十分であることを指摘せざるを得ない。本来であれば、本会議討論により意見を表明すべきであるが、少数会派にはその機会が設けられていないため、主だった議案について本書面により意見を表明する。
20号議案 令和2年度大阪府一般会計補正予算(第11号)ならびに、61号議案 令和2年度大阪府一般会計補正予算(第13号)【賛成】
11号補正では、少人数利用飲食店応援キャンペーン事業費として12億6500万円が、13号補正では、大阪市内での時短営業に協力した飲食店等への支援金として277億8000万円が計上された。新型コロナウイルス感染症の流行により大きく影響を受けた府民生活への支援は行政の役割であるが、経済活動の促進と抑制をはかる相矛盾する施策が含まれるため、感染症の流行の状況を見極めながら、対策の優先順位をつけることも重要である。
大阪版GoToEATとも言える飲食店応援キャンペーンは、予算は計上されたものの、大阪府全域に特措法24条9項に基づく知事による不要不急の外出の自粛要請が出されている中での事業停止は妥当である。また、事業再開は感染終息後にするべきである。
今回の時短営業支援では、国交付金分を除いた大阪府の実質負担額は48億円にとどまるが、総事業費は572億円にのぼる大きな支出を伴うものである。年末年始のかき入れどきに休業を余儀なくされる飲食店への支援は必要と考えるが、今支援を必要としているのはこの業界だけにとどまらない事も認識しなくてはならない。広範な生活・事業継続支援についても引き続き検討、国への要望を重ねるべきである。
57号議案 大阪府立学校条例一部改正【反対】
大阪府立学校条例一部改正の件が、賛成多数で可決され、大阪市立の高等学校等が府へ移管されることとなった。
大阪市立学校は、大阪市が大阪市民の子どもたちのため、並びに大阪市の発展等のために設置・運営をしてきたものであり、府立学校とは異なる特色ある学校づくりを行ってきた。そのことは、府立にはない学科等が設置されていることや、校長の裁量的予算配分の仕組み等、学校運営予算の点にも違いを見るに明らかである。それらを無視した府への移管は、子どもたちのための選択だとは到底言えない。
また、市立の工業高校の再編整備について、府への移管後の方針が大阪市により決められていることは理解し難く、大阪市高等学校教育審議会の委員も利益相反的な委員が複数人見られる等、その答申プロセスにも問題がある。
コロナ渦における学校教育は現在混乱の中にあり、毎日のように感染者や学校の臨時休業が出ている状況等、来年度以降の見通しも立たない状況である。このような状況の中で、市立高校等の移管に教育行政に係る人的リソースを配分することは不適切である。大阪府立学校の運営は、予算的にも人的にも、そして学校現場を見ても、残念ながら「余裕がある」、「向上してきている」等とは言えない現状である。このような状況の中、大阪市立高校等の移管を受けて、子ども達の教育に資するとは考えにくい。
以上から、大阪市立の高等学校等の府への移管は、不要不急と言わざるをえない。
Comments