本日、大阪府議会民主ネット議員団で、新型コロナウイルス感染症対応のための緊急事態宣言に関する要望書を提出しました。
全国一斉の学校休校から間も無く2ヶ月、また大阪府をはじめとする7都府県に緊急事態宣言が出されて半月を超えました。長引く新型コロナウイルスによる影響に対応するため、本日召集された大阪府議会臨時議会では、休業要請支援金を含む総額4100億円にのぼる補正予算案などについて審議が行われます。
今回は、本会議代表質問のみで、小数会派には質問・発言の機会がないため、要望書で補正予算に関する内容についても要望書で触れています。長文ですが、ぜひご覧ください。
2020 年4 月24 日
大阪府知事 吉村 洋文 様
大阪府議会民主ネット議員団
代 表 野々上 愛
幹事長 山田けんた
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応のための緊急事態宣言に関する要望書
新型コロナウイルスによる感染症の感染拡大は日本でも深刻なものとなり、新型イン フルエンザ等対策特別措置法に規定された緊急事態宣言が宣言される事態に発展してい ます。我が大阪府でも、宣言の対象地域として、日々深刻化を増す状況に対応されてい る医療者の方々や知事をはじめとした府の担当者の方々に敬意を表します。一方で、こ うした緊急事態においては、個別の細かい事情が見過ごされたり、被害を受けている当 事者が声をあげられなかったりと言ったことも生じますので、十分な人員を持って、様々 な声を丁寧に確認しながら対応を進めていただきたいと思います。 そのことを踏まえて、以下要望します。
【1】休業要請支援金(府・市町村共同支援金)について
休業要請をする事業者に対して、事業継続の観点から補償を行うことについては、当 会派の主張にも合致する。 しかし、その条件等については決して公正なものと言えず、今後の感染拡大に対応す るため、より良い制度を再設計いただくためにも下記要望を行う。
1.条件の見直し 当該予算は4 月27 日に議決が予定されているものの、予算の執行条件として4 月21 日以前の休業が示されている。これまで府は「要請」として事業者に休業を求めてきて おり、あくまで判断は事業者に委ねられていた。しかし、今回の予算案は4 月21 日に休 業していなかった事業者に対する罰則と同様の意味を成す。そもそも休業に踏み切れな い事業者の中には、休業をすれば経営が成り立たなくなる事業者が含まれている。今後、 休業していただく事業者を増やし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、中小企業 事業者の事業継続を支援していくためには、当予算の可決後の休業を条件とすべきであ る。 また、給付金は福祉的側面を持つものであることを鑑みれば、受給者、受給法人の名 称は公開されるべきではない。
2.対象の見直し 今回の支援対象は、休業できる施設を有していることが条件となっている。しかし、 これでは対象事業者は守られるが、その事業者と取引をする事業者は支援対象とならな い。本予算に関する実施概要にもその趣旨として「事業継続を下支えする」とあるが、 事業継続にはサプライチェーンを守っていくことが重要であり、関連事業者の支援も必 要である。支援対象事業者を拡大するか、支援金が給付される事業者が取引先に対して その事業を維持するために何らかの努力義務を負っていただくことが必要である。 また、社会福祉事業者の休業に対しても支援金給付を行うべきである。そもそも新型 インフルエンザ等対策特別措置法においては、社会福祉施設も知事権限での閉鎖が認め られていることからも分かるとおり、感染拡大防止においては社会福祉施設の閉鎖も検 討課題となる。今回大阪府は社会福祉施設の閉鎖には消極的であるが、介護施設等の施 設は非常に感染リスクが高いことから自主的に閉鎖している事業者も多い。本来、感染 拡大や重症化の防止という点で、それらの施設の休業は非常に有効であることから、今 回の給付支援対象とするべきである。
3.財源として基礎自治体への負担を強いることについて 本制度は、事前に基礎自治体との合意形成をはかることなく予算編成がなされた。そ れにも関わらず、基礎自治体に予算の半分を負担させる制度である。本来、大阪府の役 割は、広域自治体として基礎自治体をサポートすることである。基礎自治体の財政力や 対象事業者数等により、負担感は大きく異なることに配慮するべきである。インフルエ ンザ等対策特別措置法に基づく休業要請は、大阪府の責任で行なっていることからも、 大阪府内の感染拡大防止と事業継続支援も同様に大阪府が単独で責任を持って行うべき である。 また、本制度は、特に大阪市内の事業者にその多くが支出されることが見込まれるが、 政令市であり財政力のある大阪市と、その他の自治体を同様に扱うかは慎重に対処すべ きであり、特に財政力の弱い基礎自治体の負担を軽減すること検討することを求める。
【2】医療、検査体制等の課題について
1.検査体制 府民向け相談窓口や、各地の保健所の相談電話が極めて繋がりにくい状況が続いてお り、府民の大きな不安につながっている。電話相談体制のさらなる拡充や、現在の感染 の広がりのフェーズに合わせた、検査体制、医療体制の確保を確実に進められたい。 また、医師会と連携しての発熱外来の設置や、民間検査機関を活用したPCR 検査の更 なる拡大を求める。
2.病床確保、軽症者療養のホテル確保について 2号補正で専決された総計3000 床の病床確保に向けて、早急に取り組を進めること。 また軽症者向けの宿泊施設も積極的に活用し、100 名を超える入院調整中の陽性者の速 やかな解消につとめること。 また、昨日の報道発表資料より患者の状況の内訳が示されたことは大きな前進である 一方、自宅療養者が300 名を超えている。自宅療養中に容体が急変する事例も相次いで いるため、厚労省が自宅療養ではなくホテルなどの宿泊施設での療養を基本とする方針 を出しており、対応できる宿泊施設および人員のさらなる確保に努められたい。 加えて、自宅療養者の家族、また介助者に対する防疫資材の提供等のサポート体制も 取られたい。
3.医療体制、医療従事者支援について 3次救急体制が逼迫している状況が報告されている。現場を精神論だけで回していく ことには限界がある。広域行政としての大阪府の役割を果たすことを求める。病院現場 のマスク、ガウン、消毒液などの医療資材の確保について、国等関係機関とも連携し対 応すること。 また、医療従事者や病院関連の労働者の待遇改善にあたることと同時に、子どもの保 育拒否などの風評被害とも言える問題についても、府としても解決に向けた取り組みを 行うこと。
4.市町村支援について 相談者の入り口となる保健所相談体制は、府の直轄保健所と中核市等の保健所で対応 状況に差がある。広域行政の立場らか、保健所体制の更なる支援を求める。
5.周産期医療、産後ケアについて 日本産婦人科感染症学会及び日本産科婦人科学会が、新型コロナウイルスの蔓延防止 の観点から帰省分娩を推奨しないと発表したことから、一部の病院が帰省分娩の受け入 れ中止し、妊婦の間で混乱が広がっている。加えて、新型コロナウイルス感染症患者の 受け入れ拡大のために多くの医療資源が投入される現下において、緊急時の周産期医療 の対応力が低下を懸念する声が広がっている。分娩の受け入れ体制やハイリスク出産に 対する周産期医療については、広域行政の責任で体制を確立するとともに、当事者向け の相談体制構築も検討されたい。
6.遺族の不安に寄り添った、安全な葬儀の必要性について COVID-19 は新奇の、未だ未知の部分も多い感染症であるため、葬儀をどのように行え ば安全であるか、十分に配慮する必要がある。一方で、十分な見取りの手続きを踏まな いことで、遺族に心的外傷を残すことも危惧される。府としても、病院及び事業者と協 力し、安全管理のための適切な情報を市民に提供することや、遺体の梱包材などの資材 を確保することに努められたい。
【3】子どもの発育および学習・学校に関する問題について
1.休校中の学習保障、環境整備について 長期化する学校休校に際して、子どもの学習保障という観点からも、家庭学習の支援 を市町村教育委員会と連携して取り組んでいくこと。遠隔授業については、すでにある 民間の学習支援教材の活用も検討し、受講料補助や、インターネット環境が十分に確保 できない児童・生徒にタブレットやWi-Fi 機器を貸与するなどの支援も検討すること。 また緊急時におけるICT 活用による学習支援の観点から取り組みが前倒しされた GIGA スクール構想について、基礎自治体での円滑な導入のため、調達なども含めしっ かりとした支援を行うこと。
2.学校再開支援について 学校再開にあたっては、万全の体制を講じること。子ども達の心身のケアの観点から も、教員の増員やスクールカウンセラーの追加配置を行うこと。また学校現場への消毒 液や空気清浄機をはじめとした備品の調達を行うことを求める。 休校に伴う児童虐待の実態把握にもつとめること。
3.学業の継続問題 学校休校だけでなく、各方面の自粛に伴い、世帯収入、アルバイト収入等が激減し、 退学を迫られる学生も出ている。学費補填や緊急の給付奨学金などの支援を講じること。
【4】現下の新型コロナウイルス流行期における災害対応について 4月7日、内閣府より「避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応に ついて」の事務連絡が発出されている。長期化する新型コロナウイルスによる影響下で の大規模自然災害の発生を想定して、あらかじめ避難所運営などの体制を構築されたい。
以上
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