大阪府議会5月定例会が、新型コロナウイルス対応のため、通常より短縮された形で行われ、5月26日に閉会しました。今回は、実質2日間の本会議開催のみの議会でした。
少数会派は本会議での討論の機会がありません。よって恒例の、文書によります態度表明をプレスリリースしました。
大阪府議会5月定例会(5月26日)民主ネット大阪府議会議員団採決態度について
2020年5月26日
民主ネット大阪府議会議員団
代 表 野々上 愛
幹事長 山田 けんた
本定例会では、新型コロナウイルス感染症対策を中心とした総額441億円の補正予算が提案、可決された。当会派としては、更なる感染拡大を防ぎ、100年に一度と言われる世界的経済停滞から府民生活を守るため、必要な予算を速やかに執行することが重要と考えることから、本議会に提案された予算案、その他議案には全て賛成をした。しかしながら、未曾有の危機に際して、本会議の場で少数会派に発言の機会がないことは課題である。より開かれた議会運営を求めるとともに、今回の予算について意見を述べる。
第二波に備える準備として十分か
本議会の一般質問への答弁で吉村知事は、新型コロナウィルスとの共存、ゼロリスクを求めない、第二波第三波への備え等について言及した。本議会で議決された補正予算は約440億円であるが、そのうち第二波第三波に備えるための「感染症の拡大防止」という名目で組まれている予算は27億円であり、補正予算全体の6%程度である。経済や教育の補償・保障は重要であるが、被害の元を断つためにも感染拡大防止は丁寧に行うべきである。
>宿泊施設確保について
「感染症の拡大防止」予算では新型コロナウィルス感染症宿泊施設確保事業費(17憶8354万4千円)が盛り込まれている。感染者の療養・隔離施設の確保は重要である。ただし、宿泊施設の確保については病床確保が原則であり、あくまで代替手段と考える。重症化時の対応や感染拡大防止のために医療機関に相当する機能を整えられるように準備をしていくことを求める。
>検査について
感染拡大防止という点では、感染状況を把握し、迅速に対応することが最も重要である。知事も検査の拡大を表明しているが、実際の検査数は伸びていない。未だに検査拒否にあったとの声も絶えない。現場医療機関の求めに応じて、迅速な検査を行える体制を目指すべきである。陽性者や検査を優先すべき濃厚接触者や重症者が減ってきているのであれば喜ばしいことであるが、「患者調査」の呼吸器疾患初診外来者数を参考に考えると、大阪府内では毎日検査をすべき患者が1万人程度いることが推測される。また、直近の相談者数も毎日千人以上の相談があるため、検査を十分数行い、第二波の検知や迅速な対応に備えることが必要である。抗原検査や抗体検査について、国や大阪府の考え方に大きな課題、欠陥があることも指摘する。
新型コロナウィルス感染症対策休業要請外支援事業費他
先に4月臨時会で可決されていた休業要請支援金の対象外の、自主休業などを行った多くの事業者の、厳しい経営環境と対象拡大を訴える声に対して、約300億円の大阪府独自財源を使い、迅速に対応したことは評価する。また今回の支援金において、国の持続化給付金と同じようにNPOや福祉事業所なども対象に含まれるなど、休業要請外の幅広い事業体に対して支給も可能になっている点も重要な点と考えている。
他方、収入減少が前年同期間比(4月~5月)で50%以上減少しているという要件は、ぎりぎりで経営を成り立たせている中小法人、個人事業主に対して厳しいハードルであり、要件の一層の緩和を求める。また前年比の減収という要件のために、設立時期が1年に満たない事業体が支給対象外になってしまうという問題がある。国の新型コロナウィルス感染症特別貸付のように、数か月前の売り上げとの比較を要件とするなど、設立1年未満の事業体にも対象を拡大するよう求める。
休業要請外支援金が、府内の多くの市町村が実施している事業体向けの支援制度とは、時期が遅れて実施され、支援内容の重複が起こっている。事前に市町村と丁寧なやりとりが行えなかった点は今後の課題として残る。
国が実施する「GoTo キャンペーン」を契機とした観光プロモーション、文化芸術プログラムや大規模スポーツイベントの実施などを国の交付金事業として行うため、約4億8千万円が計上されていることは理解する。しかしながらまずは、大阪府としてCOVID-19の感染抑制や生活再建、事業継続支援を行うことが重要である。旅行・インバウンドの振興、イベントの実施を軸とした需要喚起策については、感染抑制の点から懸念があるため、実施タイミングについては慎重に検討されるべきである。
府立学校オンライン学習環境緊急整備事業費
休校期間が長引き、COVID-19の第2派、第3派の感染拡大が懸念される中、府立学校におけるオンライン授業の充実に向けて、限定的ではあるが、予算が確保されたことは大変評価する。一方で休校期間が始まってからすぐに、予算の確保が行われてしかるべきであったし、今回の予算額も充実したオンライン授業を行う上では不十分であり、さらなる予算の確保が望まれる。
また、府立学校としてオンライン授業を行っていくという方針がだされたが、基礎自治体の教育委員会が行う小中学校のオンライン授業に対しても、広域自治体である大阪府の支援が必要である。GIGAスクール構想を実行する上で、市町村との広域調達の可能性など、改めて大阪府として市町村でのオンライン授業、情報端末の整備に対する支援策の実施について、検討を求める。
以上
大阪府議会 民主ネット大阪府議会議員団 府庁控室
電話 06-6941-0219
野々上愛 HP www.nonoueai.net email info@nonoueai.net
山田けんた HP www.yamada-kenta.jp email info@yamada-kenta.jp
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