2020年3月24日
民主ネット大阪府議会議員団
代表 野々上 愛
幹事長 山田 けんた
大阪府議会令和2年(2020年)2月定例会の諸議案に対する、民主ネット大阪府議会議員団の主だった採決態度ならびにその理由について、本会議場で少数会派に討論時間が与えられていないため、以下のように説明させてもらいます。
議案第1号議案 一般会計予算【反対】
大阪府当初予算約2兆6363億円は、府民生活を支える様々な事業が含まれており、その執行を期待する予算も多く含まれています。
例えば、国が本来やるべき事業とも言える教育支援、大阪が先駆けて行う大阪公立大学法人の入学者への学費一部無償化、約11億6千万円の予算は評価されるものでしょう。他にも、住民の福祉や地域の経済を活性化するための予算も計上されており、予算案の多くは必要なものです。
他方、府政を貫くコンセプトは、いわゆる“都構想”とカジノへ向け一直線である事から、大阪市以外の市町村が置き去りにされている事実も見逃せません。副首都推進局予算約5億円や、IR推進局予算約5億4千万円などには反対です。
また、COVID-19(新型コロナウイルス)対策については、当初予算で対応するとしていますが、拡大する事態に即し、補正予算化も緊急の課題です。
丸ごとの反対は不本意であり、府民のみなさまのニーズに即して、予算修正をはかっていくのも重要な任務です。
特に本会議において、少数会派の発言を事実上認めない現在の府議会運営では、必要な議論を提起する機会は与えられていません。このため、問題のある計画も含めて丸呑みするか、全てに反対するかの残念な選択を迫られるという事情があります。したがって、我々は当初予算案に反対すると同時に、より開かれた、多様な意見を反映できる議会にしていくことを求めます。
議案第52号 工事請負契約締結の件(大阪府営住宅建設事業) 【反対】
府営堺三原台住宅建替えについては、建替え前住宅からの転居も予定されていることから、スムーズな工事完了が必要です。しかし、公共事業においては、工事発注は公平かつ公正である必要があります。府では原則一者入札を認めないとする一方、今回の一般競争入札では、「渋滞緩和に配慮する」ことを理由に、従来のRC工法ではなくPC工法を採用し、入札資格として、その実績を求めました。結果、工事費用は増加、一者入札が2件発生しました。当会派では独自に調査分析を試み、委員会においても質問を重ねましたが、一者入札を認めるに足る納得できる根拠が示されませんでした。
また、2019年9月議会「大阪府咲洲庁舎長周期地震動追加対策工事」についても一者入札を認める発注に反対の態度を表明しましたが、最近の一者入札を安易に認める風潮に危機感を抱きます。IR事業者の入札参加資格者が一者となったことについても、国際カルテルや官民談合の可能性を払拭できず、公平かつ公正な公共事業を保障できているとは言い難い状況です。
議案第115号 大阪府営住宅条例一部改正の件について 【反対】
府営住宅は「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することを目的とした公営住宅法に基づく住宅です。今回の条例改正により、保証人を確保できない人に、家賃債務保証業者による保証を強いることになります。経済的に困窮し、保証人という社会関係資本も不足する人たちに、さらに経済的な負担を強いることになり、保証料の上限設定もありません。委員会質疑では、想定している保証料や取り立てのルールについての最低限の答弁を得ましたが、大阪府内の直近の経済状況や、COVID-19による社会情勢を踏まえると、今このタイミングで低額所得者に負担を強いる決定を下す事は適切とは言えません。
議案第72号 府立大学中期計画【反対】
本年度より、公立大学法人大阪(以下新法人)がスタートし、現在、大阪府立大学、大阪市立大学の両大学が、運営されています。2022年度を目処として、大学統合の準備が進められており、大学統合のシンボルとして、基幹教育(いわゆる教養課程)の1カ所での実施、2025年の森之宮新キャンパスの開設、といった構想が掲げられています。
統合には一長一短があり、必ずしも反対の立場をとるものではありませんが、全てを拙速に進めることで、長期的な視野で行うべき教育の現場に大きな負荷や無用な混乱が生じる点は看過できません。
2025年に開設される森之宮キャンパスには、基幹教育(教養教育)を集約し7000人規模の学生を受け入れる十分な面積、施設が確保されていません。大阪市東部地域の再開発への貢献が謳われますが、教養教育の学生では、専門的知識の習得以前の段階にあり、地域へのメリットに乏しいと言わざるを得ません。
このことを考えれば、移転は学生、教職員、法人、地域、企業、行政、いずれにとっても中途半端なものとなる可能性が高いでしょう
議案第129号 府有地の不法占拠に伴う土地明渡請求に関する訴えの提起の件【反対】
あいりん総合センターは、職業紹介にとどまらず、日雇い労働者の居場所としての機能も果たしてきました。昨年4月の閉鎖、跡地計画がまだ決まっていない状況の中、まだそこで生活している野宿者を法的に無理やり追い出すことは、当事者の生命の危険にさらすものであると考えます。またCOVID-19のさらなる拡大が懸念される状況の中、野宿者には重症化リスクが高いと言われる「基礎疾患を抱えた高齢者」も多く、雨風をしのげる場所から立ち退きを法的に迫ることは不適切です。代替場所の確保等、十分な話し合いによって解決するよう求めます。
第3号意見書 災害現場の最前線で人命救助、支援活動に尽力する自衛隊の抜本的な改善を求める意見書【反対】
昨年11月の法改正の増額を上回る、「抜本的な待遇改善」「大幅な増」等、各党合意した法の範囲を大きく越えることを求めています。自衛隊に限らず、あらゆる職種の待遇改善を図っていく事は、立法府の重要な責務と考えますが、特に、COVID-19関連予算の規模が想定できない今、特定の職種に限り人事院勧告を大きく上回る増額を求める事は適切ではありません。
また意見書本文中、自衛隊の「崇高な思い」や「使命感」、といった、任務を神格化するような、自衛隊法にも記載されない表現であり、シビリアンコントロールの観点からも問題があります。
3月6日採決分
議員提出第1号議案 大阪府議会議員の議員報酬の特例に関する条例中一部改正について【反対】
本来、府議会議員の適正な報酬額を、議員の担うべき職務を基に、大阪府の財政状況を勘案しながら、報酬審議会等の外部機関を活用するなど適正な手順を踏まえ、十分な議論を全会派で行うべきです。一部の会派が議員報酬の削減を選挙公約に掲げたことを理由として議会に提案されたことに対して、議員内の議論を軽視した姿勢であり、賛成することができません。また期間限定の、条例金額の月額3割カットでは、月額報酬はカットされるものの、期末手当は満額支給のまま据え置かれるなど、府民に十分のその実態が伝わっているのか、スタンドプレーの「改革のふり」はもうやめにして、あるべき府議会の機能、報酬の水準をしっかりと議論すべきと考えます。その結果の報酬削減は当然受け入れるものですし、今後のあるべき議員報酬については、全会派の議員の中でできるだけ合意をつくりながら決定していくよう求めていきます。
以上
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